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4日目


  ホテルの朝は朝寝坊だ。強制的に起こされる夜行列車と違って、睡眠時間がある程度裁量できるホテルの朝はどうしても朝寝坊に なりがちだ。朝の5時台に平気で起きていた高校時代が懐かしい。体力が落ちた証だろうか?当初は7時に起きて、函館8:14発の列車に 乗る予定だったのだが、……結局8:30起床、乗る予定の列車は函館9:41発だ。まずはフロントへ行き、朝食を食べる。その後旅行バッグ だけ持って函館駅へ、コインロッカーに旅行バッグを詰め込む。屋内設置の真新しい立派なコインロッカーだが、観光価格の\400には ちょっと閉口。普通\300だろう。ホテルの部屋に戻ったところもうあまり時間がない。あわててチェックアウトして駅へ向う。

キハ40単行@函館駅   駅では総販入場券、オレカなどを買ってからホームへ。これから乗る9:41発七飯行普通列車はすでに入線済みだ。車内は各ボックス あたり1〜2人といったところでまぁまぁの乗車率か。ボックス部分には座れず、車端のロングシートに座って桔梗へ向う。桔梗に9:52、 到着。桔梗では総販入場券を買う以外に特に用はなし。これといったオレンジカードも売っておらず、9:56発の快速アイリスですぐに Uターン。快速アイリスははるばる長万部から2時間かけてやってくる快速だが、七飯からは各駅に停車するし、車両もキハ40の単行。 これといってかわり映えはしない。車内はかなり混雑しており、デッキに立って五稜郭まで向う。わずか1駅、たったの5分だ。五稜郭には 10:01に到着。
  五稜郭ではこれといってする予定は無かったのだが、ここで腹痛に襲われる。列車の少ないエリアでの乗り遅れは結構致命的。だから 列車にトイレが備わっているんだろうけど。まぁ結局どうにか間に合った。11:12発江差行普通列車で隣の七重浜へ。七重浜駅には10:16 に到着。函館の市街地の中であり、駅前は国道沿いを中心に活気がある。近くには高校もあり通学時間帯の列車は混雑するのだろう。 まずは駅前の七重浜郵便局、続いて国道227号線沿いの七重浜本通簡易郵便局と郵便局回り。その後はすぐに駅へ戻る。 駅ではまず総販入場券を買ってから、さらにこの後使う木古内→函館の白鳥15号の指定券も発券してもらう。指定券に現地の駅名が 入るのもまたよろし。待合室で30分以上ボーっと待ってから11:27発の上磯行普通列車に乗る。

  再び江差線の車上の人となり、清川口駅へ。上磯町の中心駅は当然上磯駅なのだろうが、ここ清川口駅は上磯町役場の目の前に あり、ある意味でこちらも中心駅。まずは役場の中にある上磯町役場内簡易郵便局へ。すぐに駅に戻って切符を買う。この駅では 駅に併設の売店が切符の委託販売所になっており、ここで切符を買う。戯れにコアラのマーチも買ってみた。そういえば以前、宗谷本線の 風連駅前にある切符販売所で切符を買った際も、ついでに買ったのはコアラのマーチだったような…。売店兼待合室のテレビでNHKなど 見つつ、列車がやってくるのを待つ。周りは老人ばかりで少々浮いてしまう。11:58、函館行普通列車で久根別まで逆行する。
  12:00ちょうど、久根別駅に到着した。久根別駅は正真正銘の完全な無人駅。即刻駅前の久根別郵便局へ。駅へ戻ってからは 時間をもてあます。ところでこの駅、跨線橋が駅舎だけでなく外の道路ともつながっている。無人駅ならではのある意味サービスだろうか ?途中でやってきたEH500牽引の貨物列車を眺めたりしながら時間を潰す。さすがに長大編成の貨物列車が頻繁に往来する貨物路線 だけあって、津軽線などと同様に駅の有効ホーム長は異様に長い。しばらくして上磯行普通列車が到着。対向の貨物列車の遅れで久根別 を2分遅れの12:31に発車。

ハセストで売っていたセイコーマートの緑茶   上磯には12:35に定刻通りに到着。駅の窓口で総販入場券を買ってから、まずは駅前の上磯郵便局へ。ここで時間は既にお昼 過ぎ。昼飯を買おうと思い駅の周りで食い物屋を探すもイマイチ。仕方が無く国道228号線沿いでコンビニを探すも、どうも見当たらない。 ちょうど国道沿いに交番があったため警官にコンビニがないか尋ねると、近くにハセストがあるとのこと。「観光客の方ですか?」 と聞かれたので、「そうです。」と答えたところ、「じゃあ、ぜひやきとり弁当買っていって下さい。」と 言われてしまった。ご丁寧にありがたいことである。夏場に車で北海道を旅行する人にとっては道警はうざったい存在かもしれないが、 JRで旅行している自分にとっては人畜無害なお巡りさんである。まぁ自分にとっては神奈川県警が………以下自主規制。で、ハセスト 上磯店に到着。店内は結構広い。まずは雑誌コーナーへ。マガジン、サンデー、ヤングジャンプと一通り立ち読み。結果時計を見ると 結構時間がない。慌てて店内でやきとり弁当を探すも見つからない。実は後で知ったことなのだが、やきとり弁当はオーダーメイド なのだ。すなわち、やきとり弁当を注文してから立ち読みをすべきだったのだ。結局やきとり弁当を(当然)発見できなかったため、 仕方なく鶏肉の焼鶏丼で妥協。あ〜食いたかったな〜、豚肉のやきとり弁当。飲物は安さでセイコーマートオリジナル の緑茶を買う。ハセストはセイコーマートと提携でもしているのだろうか?一部のセイコーマートではハセストのやきとり弁当が買える ようなので、きっとそうなのだろう。上磯駅へ戻る。そういえばなんで警官に観光客だとばれたのか?旅行バッグはコインロッカーの中で リュック1つで行動中だし、失礼ながらこんなところに観光客が来るとも思えないのだが…。言葉とかからか?

木古内のホア   上磯駅に戻ったところで、木古内行の到着までは多少時間がある。駅の待合室でセイコーマートオリジナル緑茶の写真を撮ってから、 おもむろに鶏肉の焼鶏丼を食べる。同じく待合室にいたおばあさんと話をする。曰く「そんなもんの写真なんか撮って、変な人だと 思った。観光客にも見えんし。」とのこと。やはりリュック1つの身なりでは観光客には見えないようだ。ますます警官に観光客と ばれたのが不思議だ。しばらくしたところで、まだ食事中なのに木古内行の改札が始まってしまった。仕方がないから焼鶏丼に再びふたを してホームへ。やってきた木古内行普通列車はかなりの混雑。列車本数が少ないからだろうか?どうも買物のご老人が多いようだ。上磯を 3分遅れの13:31に発車。しばらくは立ったままで過ごす。次の茂辺地で多少空いたため、ここでようやくイスに座る。焼鶏丼の残りを 食べる。その次の渡島当別は10分停車で、その間に駅併設の郵便局と委託販売の乗車券を…、と思っていたのだが、上磯発車時から 引きずっている遅延、渡島当別でわらわらと降りる客といった状況から断念。なお渡島当別で客がわらわらと降りた結果、車内はかなり 空いて1ボックス1人といった状況になった。その先の駅でも少しずつ客は降りていき、車内が相当閑散としたところで14:16、木古内に 定時に到着した。
  木古内では45分の乗換時間があるので、駅の外へ出る。まずは木古内郵便局、続いて踏切を渡った住宅地の中にある 木古内新栄簡易郵便局と郵便局回り。木古内新栄簡易郵便局ではたわむれに現金書留を出してみる。この帰りに発見したのが 左上の「ホア」。白地の部分は横断歩道の白い部分なのだが、なんの目的か?はたまたいたずらか?さっぱり意味不明。かなり 不審者ですが思わず写真撮影。しかるのち駅へ戻る。道は相変わらず雪がぐしゃぐしゃになっていて歩きにくい。

湯ノ岱駅内   駅に戻って総販入場券を買ったところで、既に江差行普通列車は入線済みのようだ。待合室にいても仕方がないのでとっととホーム に降りる。ところでこの木古内駅、やけにホームが狭い。もともと単なるローカル線の分岐駅(江差線と松前線)だったところが、急に 本州と北海道を結ぶ幹線ルートの拠点駅になってしまったわけで、そういう意味でも構内に多少無理があるのかもしれない。江差行の 車内はわずかではあるが乗客もいて、列車貸切ということはなさそうだ。15:01、定刻通り木古内駅を発車。しばらくして立派な海峡線の 線路と分かれ、貧弱な江差線の線路を走り始める。制度上はあちらが分岐していくのだろうが、見てくれもポイントの線形もこちらが 「分岐」であると主張している。しばらく走って渡島鶴岡、吉堀と停車していく。ここから先がある意味での峠越え。実際近くには稲穂峠 という峠があるらしく、ヒルトップ付近では江差線、近くを並走する道道5号線ともにトンネルがある。ここが渡島支庁と檜山支庁の境で、 吉堀から次の神明まで20分以上かかる。神明では一人降車。神明を出てしばらくすると再び道道5号線と合流。合流すると15:36、すぐに 湯ノ岱に到着した。
  湯ノ岱ではタブレットの交換を眺めつつ、16時まであまり時間もないのでとっとと湯ノ岱郵便局へ向かう。湯ノ岱郵便局では 淡々と貯金通帳が処理され、判子が押される。世の中がミレニアムに浮かれた20世紀最後の年、2000年早々の1月6日に通帳を作って、 小平駅前郵便局で旅行貯金の1局目をスタートしてから早4年。初っ端からご近所貯金で始めた旅行貯金だったが、まさか2209局も 回ることになろうとは思いもよらなかった。途中大学受験のブランクを挟みながらも1年で平均500局以上回った計算だ。それも今日、 2005年3月10日で全ておしまい。まさかこのような北海道の僻地で最後を迎えると想像しただろうか。ひとえに感慨深いものがある。 これで11万も貯金することになるとは思わなかった。これで旅行の計画を立てるたびに郵便局の場所を気にしなくて済むようになるかと 思うとほっとする反面、やはり寂しい。貯金のために旅行を計画するくらいに入れ込んでいただけに寂しい。本末転倒とはこのことか。
  駅に戻ってからは、まず駅員の手を煩わせて乗車券購入。常備の軟券、補充の片道乗車券、さらに勧められたので硬券の入場券も 買う。〆て\540也。さて暇になった。待合室で清川口で買ったコアラのマーチをバリバリやりながら待っていると、しばらくして郵便局員 が駅の中に入っていった。さらに警官も。巡回だろうか?外では雪が舞い始めたが、待合室の中では関係ない。暇な時間はしばらく続く。 16:46、ようやく折り返しの木古内行で湯ノ岱を離れる。再び峠を越え、渡島支庁へ。あたりの日が落ち、薄暗くなったところで17:20、 木古内駅に戻ってきた。

  木古内では暇な1時間が苦痛だ。函館行の特急白鳥15号は18:38発で、乗換時間は1時間以上ある。とりあえず明日のスーパーとかち 1号の指定券を発券してもらうも、わずか数秒で終了。また暇な時間だ。外は本格的に雪が舞っており、駅の外へ出歩く気も起こらない。 そうでなくとも駅前には何もない田舎町だということは、先ほど外を歩いてよく分かっているのだから。途中で17:27到着予定だった 白鳥30号が遅れて到着。駅の中はというか駅事務所の中はにわかに騒がしくなり、「おい、バス待たせとけ!」、 「(降りる客は)いる?」、「バス(に乗る客)はいない!」、といった大声が飛び交う。降りた客の中には定期券と 券売機で買った特急券を持った女子高生もいて、函館まで通学しているということなのだろう。快速海峡があったころは定期券だけで 通えたものなのだが…。白鳥30号の喧騒が過ぎ去ってしばらくすると、駅事務所の中に雪をびっしり背負った保線係員が戻ってきた。 いまの白鳥30号がらみだろうか?北国での定時運行の難しさを思い知らされる。再び暇な時間が流れる。まだかまだかと長い時間を待つ こと数十分、ようやく白鳥15号が到着。車両は485系の改造車、3000番台車だ。以前特急はつかりで乗った事がある。外は既に 真っ暗闇。車内は閑散。前のイスを回転させ、靴を脱いで足を延ばして堕落する。車内灯もなんだか薄暗く、ますます気分が 滅入ってきた。19:25、定時から2分遅れて函館に到着。
  函館ではまず旅行バッグを回収、しかる後市電に乗って谷地頭へ。函館では毎度おなじみの市営谷地頭温泉へ向かう。が、雪が半端 じゃない。完全に吹雪。しかもあまりというかほとんど除雪されていない。足がズブズブ埋まる。すぐそこに黄熱灯に照らされた谷地頭 温泉が見えるのに、なかなか距離が縮まらない。かまいたちの夜のペンションシュプールを思い出してしまった。なぜだろう。で、やっと こさ到着。もはや靴は完全にグショグショ。まぁ足裏のエアクッションに石で大穴の開いた、今となっては逆効果の防水スニーカーでは どうしようもない。車を運転するわけでもなし、トレッキングシューズでもはいて来ればよかったか…。谷地頭温泉では当然温泉に入る。 室蘭のスーパー銭湯以来のまともな風呂だ。赤い鉄の温泉につかり、これまでの疲れがうそのようだ。「見ろ、人がゴミのようだ 」と叫びたくなる。叫ばないけど。風呂上りは無料の休憩室でお茶を飲みつつ、NHK。そういえば一昨年はここ函館でイラク戦争開戦を 迎え、このテレビでイラク戦争を伝えるニュースを見た気がする。谷地頭温泉では営業終了の21:30まで粘るつもりだったが、休憩室に 貼ってある谷地頭電停の時刻表を見ると、21:28の次は22:03の終電までない!21:30に営業終了で追い出されてから、22:03まで電停で 待たされたのではたまらない。まだ21:28に間に合う時間。あわてて身支度を整えて谷地頭温泉をバタバタと後にする。そして再び雪との 苦闘。除雪していない道路がここまで歩きにくいとは…、マジ泣きそう。やっとこさ谷地頭の電停に到着し、電車の到着を待つもなかなか やってこない。この雪で遅れているようだ。そういえば行きも下り坂では雪のために徐行をしていた。かろうじて風雪はしのげる待合所で 待っていると、ようやく電車がやってきた。函館駅前へ戻る…。

  函館駅前では晩飯を食べなければならない。定番のザ丼へ。本八幡のシャポーの中にもある、あのダスキン系列の(一応ニッスイも 絡んでますが)丼物屋にわざわざ函館まで来て入ることもないだろう、と言われそうだが仕方がないのだ。函館の夜は早い。函館は朝も 早いが夜も死ぬほど早い。21時を回れば駅前はシャッター商店街。ザ丼か駅前サンクスくらいしか選択肢がないのだ。そのザ丼も快速 ミッドナイトがあったころは随分と賑わっていたが、今ではこの時間ともなれば客は少ない。店内ではしゃけとろ丼デラックス、\724を 注文。ご飯も温かいし、冷えた体には十分うまい。お茶を2杯もお代わりしてから店を後にする。
  食事後は駅前サンクスに寄って翌朝の朝食を買ってから函館駅の待合所に直行。これから乗る急行はまなすは1:23の発車。時間はまだ 22:30にもなっていないので、3時間も待つ必要がある。以前の待合室はこじんまりとしていて、暖かい上に、時間が遅くなると北斗星、 はまなす等の乗客以外を締め出していたので安心して仮眠がとれた。が今の待合室は開放的&24時間常時開放のためうかうか眠っても いられない。酒を飲んでいるオヤジがいると一応警備員が切符拝見にやってはくるのだが…。(そのオヤジは正当な切符を持っていたが) グループ客は荷物番を残して駅前サンクスに買物に行ったり、また旅行談義に花を咲かせている連中もいるようだが、どうにも疲れて いるし付き合う気にもなれない。22:42にスーパー北斗22号が到着すると駅の改札業務は一段落。出迎えの人もいなくなって駅構内は ガランとする。さらに22:47発の森行普通列車と23:06発の木古内行普通列車が発車すると、駅内はますますもって寂しくなる。自分が リアル高校生だったころの、快速ミッドナイトがあったころの、あの喧騒がウソのような静けさだ。青函連絡船時代を知っている人は もっとギャップを感じるのだろうか…。
はまなすカーペット上段   北斗星4号が函館駅を発車してからさらに1時間以上、ようやく急行はまなす号まもなく到着のアナウンスが流れ、待ちわびたように 人々が動き出す。焦ってホームへ向かったところでまだ列車は到着しておらず、寒いホームで待つのもしんどいので頭端式のホームへ つながる通路で到着を待つ。しばらくすると二筋の電機の光とともにホームに列車接近の放送が流れる。1:13、機関車牽引列車御用達の 函館駅8番ホームにはまなすが到着した。函館駅は基本的に各ホームが行き止まりの頭端式だが、8番ホームだけはその先まで線路が続いて いるため機回しが可能で、機関車牽引の列車は必ず8番ホームに発着する。さて今日の寝床ははまなす号のカーペット、それも上段だ。 左の写真を見ればおわかりのとおり、ドアとカーテンこそないもの個室も同然。わざわざ1ヶ月前に新小平駅の窓口で10時の時報とともに マルス端末を叩いてもらって指定券を手に入れたのだ。夏の繁忙期ともなれば1ヶ月前の10時でも取れない可能性があるが…。なおこの 区画をマルス端末で指定する場合、「列車名はまなすカーペット(はまなす本体とは別個登録)」、「普通座席ではなく、 B寝台扱い」、「フロア指定2階」という二重、三重のワナが仕掛けられているので要注意。JR北海道プラザ東京支店 ならともかく、首都圏の駅の普通の窓口ではまずこれらのことを知らない可能性のほうが大きい。実際2年前は新小平、新宿とも 「あら〜、出ないな〜」で結局取れなかったし。だが、それらをわざわざ駅員に説明してでも一ヶ月前に取る価値のある指定券だ。 やはり横になって寝れるのは最高!自分は寝床が固いのは気になる方なので、毛布を体にかけるのではなく、たたんだ毛布の間に体を 挟める形で(サンドイッチ状態で)寝ることにする。車掌の検札後はすぐに眠りの世界へ………zzz

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